今日は固めの話です。わらかす気も無いです。多分長くなると思います。
さっき『童話物語』という本を読み終わりました。
ここで具体的な内容は語りませんが、素晴らしい本でした。
私が読んだのは最近出た文庫版のほうですが、
単行本が発売されたときに読めなかったことが悔やまれます。
存在に気が付いたのは仕事中、レジを打っている時でした。
お客さんの一人が『童話物語』を購入していった際、
裏表紙に記されていたあらすじが目に飛び込んできたのです。
「世界は滅びるべきなのか?
その恐るべき問いの答えを知るために、
妖精フィツは地上へとやってきた……」
ちょうど最近本を読んでないなと思っていたところでした。
京極をあらかた読み漁ってしまって以来、
私はしばらく読書から遠ざかっていたのです。
裏表紙のあらすじに奇妙な期待感を覚えた私は、
今度読んでみようと思いましたが、すぐには手にとりませんでした。
何故ならそのときには、既に次はハリー・ポッターを読もうと思っていたからです。
しばらくして、夏江さんがうなされるように日記で騒いでいるのを見つける。
「『童話物語』。ハテ何処かで聞いたような……ああ、アレか!」
まだポッターの途中だったんですが、気になったので即座に店に走りました。
単行本が発売されたのは二年前。
二年前に出会えていれば、私のその後の二年間は今と同じではなかった。
そう言い切ってしまってもいいほど、私にもたらされた衝撃は強烈でした。
分類としてはファンタジー小説ということになると思います。
しかしこの本は現代において氾濫しているソレとは明らかに異なりますが……
次元が違うというか、土俵が違うというか。
『ロードス島戦記』という作品があります。
作品の出来不出来についてはここでは問わないとして、
彼の作品は私をファンタジーの世界に誘った媒介的存在です。
ロードス島を通じて触れたファンタジーの世界は、私に多大なる衝撃を与えました。
そのため私の作品にはファンタジーと言いながらも
ロードス島世界の影響が少なからず出ています。
この作品の読後感は、初めてファンタジーに触れたそのときの感じに良く似ていました。
私の生き方そのものを変えかねない予感……そんな感じです。
下巻の解説にて、この物語を創造した集団による
ウェブサイトが立ち上げられていることを知りました。
そこには『童話物語』の立ち上げに関する話、
第3者(=同人、と解釈して良いと思いますが)による
サイドストーリーなどが掲載されているそうです。
現段階において私はまだそれを閲覧していません。
この熱くなっている頭をクールダウンしてから、
冷静にこの物語を捉えなおしてみたいと思っています。
(なにしろまだ読み終わって30分ですので)
ただしここで明言しておきますが、
私もそのサイドストーリーを書こうとは思いません。
下巻の終わりに差し掛かったとき、いつまでもこの物語を読んでいたい、
物語が終わってしまうことが惜しくてたまらない、
そんな感情は確かに私の中に沸き起こりました。
しかし作品そのものを大切にするためには、
誰も何も付け足さない、素の状態にしておくことが一番だと
私は考えているし、もちろんそれを実行するつもりです。
私は好きで絵を描いたり話を書いたりしている癖に、
実は上記の理由から、自分が本当に好きな作品の
パロディを読むことはそんなに好きではありません。
キャラクターを利用しただけのギャグ漫画などなら読みますが、
ストーリーに深く切れ込むようなシリアス物なんかは全然読まないです。
いや、非常に自分勝手なのはわかります……
なにしろ自分はそおゆうのを描いてるわけですから。
ただ他人に「描くな」と言っているわけではないですのでご容赦を。
その代わり他人のオリジナル作品は大好きですよ。
そういう意味ではコミティアなんかは実に私向きのイベントと言えます。
結局原稿が進まず、次回の参加は見送りましたが……
なんか話がずれてきた。戻そう。
私は今後少なからずこの作品の影響を確実に受けるでしょう。
ただそれは、世界観を真似た作品を作ったり、
展開を真似た二番煎じのような作品を作ると言うわけではありません。
影響を受けるのは……いい言葉が浮かびませんが、気力面になると思います。
私はしばしば、作品を創造することの意味を見失うことがあります。
そんなときにこの作品の存在は、私が立ち直るためのよすがになってくれるはずです。
「誰だって本当は自分が思ってるより凄い人間だよ」
その言葉は、きっと私にまた一歩踏み出す力を与えてくれるでしょう。
……いや……読んでみて面白くなくても俺に文句言わないでね。
少なくとも俺は本当にそう思ったから……
(01/10/05)